熱中症対策に日傘は本当に効果的?日傘の効果を徹底解説!

日傘は夏の強い日差しをさえぎり、熱中症のリスクから身体を守る効果的なアイテムの一つ
です。しかし、その重要性を十分に理解し、活用している人は意外と少ないかもしれません。

この記事では、日傘が熱中症対策にどのように役立つのか、その効果や使い方について
具体的に解説していきます。

熱中症とは

熱中症は、気温や湿度が高い環境で体温調節がうまく働かず、身体のなかの熱が放出されず
に、体温が上昇してさまざまな症状を引き起こす病気のことです。軽度の場合は、頭痛・吐
き気・めまいなどの症状ですが、重症化すると、意識消失・けいれん・最悪の場合命に関わ
る状況に至ることもあるため注意が必要です。

近年、地球温暖化や都市部の温暖化(ヒートアイランド)の影響で、暑さがますます厳しく
なっています。環境省と気象庁では、熱中症への警戒を強化するため、「熱中症警戒アラー
ト」の発令を 2021 年度より全国で始めました。

熱中症の危険性が極めて高くなると予測された際は、気象情報や防災情報と同じように、関
係各所に注意を呼びかけています。

環境省が発行した「熱中症環境保健マニュアル 2022」では、日向では積極的に日傘を使用
するなどの工夫が紹介されています。

日傘がもたらす熱中症対策の効果

熱中症は、誰にでも起こりうる危険性がありますが、日常のちょっとした工夫により予防で
きます。その工夫の一つが、外に出るときに日傘をさして、強い日差しから自分を守ること
です。

また、環境省が実施した複数の調査から、日傘が熱中症対策において有効であることが明ら
かになっています。調査内容は次のとおりです。

暑さ指数の低減効果

九都県市と連携して行われた「日傘無料貸出イベント」では、日傘の使用で暑さ指数
(WBGT)を 1〜3°C程度下げられることが確認されました。

特に千葉市動物公園での測定では、日傘をさした場合に WBGT 測定値が 3°C下がり、熱中症警戒レベルが 1 段階低下しました。

人の熱ストレスの低減効果

室内での人工気象室実験では、日射を 99%以上カットする日傘の使用により、15 分間の歩
行運動後の汗の量が約 17%減少することが分かりました。この結果は、日傘が直接的な日
射から保護し、体温の上昇を抑えることにより熱ストレスを軽減する効果を示しています。

さらに、ヒートアイランド現象に対する適応策の効果調査では、クールビズ実施時の熱スト
レスが約 11%低減し、日傘の併用でその効果は合計約 20%にまで低減することが判明しま
した。

また、街路樹がない場所で日傘を使用することの熱ストレス低減効果は、10m 間隔で街路
樹を配置する効果に匹敵するという結果もあります。
これらの調査結果から、日傘は熱中症対策に大きな効果を発揮すると考えられます。

日傘の選び方

日傘を選ぶ際には、特に以下の 2 点の知識が必要です。

遮熱率の高い生地の使用

日傘選びで重要なポイントは、直射日光を効果的に遮ることができる「遮熱率」の高さで
す。遮熱率が高い生地は、太陽の熱を大きく減少できます。
遮熱率とは、生地がどれだけ太陽光の熱を遮ることができるかの指標です。遮熱率が 35%
以上ある生地は、熱を効果的に遮ることができるといわれています。

しかし、より高い遮熱性能を求める場合は、それ以上の遮熱率を持つ生地を使用した日傘を
選ぶと良いでしょう。

照り返しの熱を吸収する裏生地の使用

アスファルトなどからの照り返しによる熱は、熱中症の原因となり得ます。そのため、照
り返しによる熱を吸収する特殊コーティングが施された裏生地を選ぶことが重要です。濃色
の裏生地は熱吸収効果が高く、特に照り返しの反射を防ぐために黒や他の濃い色が推奨され
ます。

追加のポイント

暑さ対策のほかに、追加した方が良い情報として、次の点も参考にしてください。

UVカット率

日傘を選ぶ際には、UV カット率にも注目しましょう。高い UV カット率を持つ日傘は、有
害な紫外線から肌を守るのに役立ちます。99%以上の UV カット率を持つ日傘が理想的で
す。

サイズと形状

日傘のサイズと形状も重要な選択基準です。広い範囲をカバーできる大きめの日傘は、より
多くの日差しをさえぎれますが、持ち運びには不便かもしれません。また、風に強い形状の
ものを選ぶことで、風の強い日でも安心して使用できます。

持ち手の快適さ

長時間日傘を持って歩くことを考えると、持ち手の快適さも重要です。手になじみやすい形
状や素材を選ぶことで、使用時の疲れを軽減できます。
適切な日傘を選ぶことで、夏の暑い日差しや照り返しによる熱中症リスクを減らし、快適に
過ごせます。これらのポイントを参考に、自分に合った日傘を見つけてください。

まとめ

年々暑さが増している夏の熱中症対策に、老若男女問わず日傘が重要視される動きが高まり
つつあります。環境省からも、一人ひとりの工夫でできる暑さ対策として、日傘の活用推進
を目指すための様々な情報やサービスが発信されています。

もし、まだ日傘を利用したことのない方がいましたら、ぜひこの機会に日傘を手にしてみてはいかがでしょうか。


-この記事を監修した医師のご紹介-

現役美容皮膚科医 成田医師

2011年医師免許取得。初期臨床研修を経て総合診療医として幅広い分野の治療に携わる。現在は美容系クリニックで美容皮膚科を中心とした診療に従事している。

灼熱の太陽の下でも、ひやり。
放射冷却効果で通常の日傘と比べ「体感温度 -6.3℃」を実現
*2

※記事の医学的な内容について、上記医師が確認しております。記事内で紹介している商品を医師が推奨するものではありません。